2018年1月8日月曜日

仏像でバズった先輩のトークライブレポート

先日、先輩が仏像でバズった。
Twitterに投稿した一つの画像、それが話題を呼んでバズりにバズり、最終的にはテレビ出演(VTR)も果たしたそうな。
その先輩こと「つるま」氏が今回トークライブをやるらしいということで、良い後輩代表として馳せ参じてきた次第である。

イベント名は『「謎の大観音」ネット大捜索劇の舞台裏! 渦中の第一投稿者「つるま」さんが激白』である。
CM前のバラエティかと思ったが、内容が大体分かる良いタイトルだと思うことにした。

風の吹きすさぶ矢場町を歩き会場を探す。
なんとか看板を見つけ地下に降りて行く。

降りて行く途中で黒いマスクをつけた(おそらくマスクの下は)強面のお兄さんとすれ違う。
「あれ?客層違くない??」と思っていると、ギターの音まで聞こえてきた。いよいよ雲行きが怪しい。何か嫌な予感がする(スターウォーズ)。

そんなこんなで階段で2,3回の昇降運動をしているうちに、どうやら奥にもう一つ店舗があるらしい、ということがわかった。
なんとか『ボクモ』にたどり着いた。




店内は素晴らしくおしゃれで、僕が入っていいのかと一瞬躊躇したが、怖いお兄さんはいなさそうなので受付を終え席に着く。

今回、対談相手は名古屋通なら皆が知っている、知らない人も書店で本だけはちょっと知っている大竹敏之氏である。名古屋文化研究の最前線にいる方である。






イベントは、くだんの画像から始まる。
謎の巨大観音像、押し寄せる情報ツイート、伸びるリツイート数。
この流れについてはウェブニュースで色々と取り上げられていたので知ってる人が多いと思うので、詳しくは説明しないが、寄せられた情報が面白い。

観音のデザインや持っている三又槍の意味合いから始まり、土台の石垣、写真に写った人々の服装や、帽子の種類、袈裟の意匠、更には写真の植生や季節...etc。





ネットらしく「みんなが口々に知ってる事を披露する」ゲームが始まった!、と当時バズった流れを見ながら思っていた僕だったが、これもつるま氏の術のうちだったらしい。
ツイートには確かに「仏像、着物、植物、建築などのマニアの方のご意見、情報お待ちしてます。」と書かれている。この一文が大きなうねりを産んだ要因だったのかもしれない。

様々な情報が飛び交い、寄せられる情報が何ループかしたあたりで、一冊の本についての情報が寄せられ、最終的にはそれから青島の観音像にたどり着くこととなる。






NHKを始め、「集合知」という言葉で紹介される今回の捜索劇であるが、話を聞いていると微妙に本質から外れている気がする。
実際のところ、仏像の特定に至ったのは数本の情報の連鎖によるものであり、多くの情報を加算して、というよりも、「数々の情報は結果的に正解であった」というような感じだ。集合感はそんなにない。裏づけにはなったかもしれないが。
しかし、ネットでみんなが情報を届けた結果、このビッグウェーブに繋がったのだから、間違いでもないのだろうか。

それにしてもネットで検索しても何の情報も見つからなかった観音像が、SNSを通しての一次情報から特定される、というのは面白い。
ネットには全ての情報が揃っているように思い込みがちだが、その隙間を埋めるものを見た気がした。

(つるま氏のコミカルなトークと、大竹氏の耳触りの良い合いの手で会場は何度も湧いた)

しかしネットどころか、文献的にも情報の残っていないもの、こと「コンクリート大仏」
というジャンルにおいてはそうしたものが数多いそうだ。
一時期、全国的に多くのコンクリート大仏が作られたものの、いまではコンクリート製は偽物(これはつるま氏のツイートから)という風潮などから脇に追いやられ、その大きさから壊すに壊せず忘れ去られていったものも多い。

なんだろうか「時代に取り残されたもの」「時代の忘れ物」といった感じだ。

大竹氏やつるま氏はそうしたコンクリート大仏を始めとしたコンクリート像の記録を残す活動をしている。
年代的にも、時代の忘れ物が永遠に忘れ去られる前に何か手立ての打てる、その最後の時期が来ているのかもしれない。

元々「ネットによって得られた情報」についてのイベントであったはずだが、イベントを通して逆に「自らの足で稼ぐ情報の重要さ」について学んだ気がした。

そんなことを思いながら、店を後にした。
となりの店もイベントが終わったのか、強面の人々が出てくるところだったので、足早にして逃げるようにビルを去った。

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